第5話 梅雨なのに暑すぎ!こんな時の救世食
梅雨明けもまだだというのに、さっそく気温は30度越えをキープ。天気予報を見るたびに目から汗が出てきそうです。じっとりとした湿気と、じりじりと照りつける太陽に、体も心も少しお疲れ気味になっちゃいますよね?
我が家でも、高血圧気味の夫が休みの日には「体が重くてだるい」とソファでぐったり。皆さんの中にも、同じように感じている方がいらっしゃるかもしれませんね。食欲が落ちて、つい冷たい飲み物やのど越しの良い麺類ばかりに手が伸びてしまう気持ち、とてもよくわかります。
でも、そんな時こそ、私たちの体を内側から支えてくれる「食事」の力が試される時。特別なご馳走である必要はありません。いつもの食卓に少し加えるだけで、この厳しい季節を乗り切るための「救世食」になってくれる食材があるんです。今回は、この蒸し暑さを吹き飛ばし、体をすっきりさせてくれる食べ物の力について、お話ししたいと思います。
なぜ、この時期は体調を崩しやすいの?
梅雨時の湿度の高さと、急な気温の上昇。このダブルパンチは、私たちが思う以上に体に負担をかけています。体は、汗をかいて熱を逃がそうとしますが、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、熱がこもりがちになります。その結果、体温調節を担う自律神経が乱れやすくなり、「なんとなく不調」という状態に陥りやすいのです。
さらに、室内では冷房が効いているため、屋外との寒暖差で体は混乱状態。血行が悪くなり、むくみや冷え、肩こりなどを感じることも。食欲不振も、こうした体のサインの一つなのです。だからこそ、この時期は体をいたわり、内側から元気を補給してくれる食事の知恵が大切になります。
旬の恵みで、体に潤いと涼を
この時期に旬を迎える夏野菜は、まさに自然の恵みそのもの。きゅうり、トマト、なす、ピーマン、ゴーヤといった野菜たちには、火照った体を内側から穏やかに冷やし、失われがちな水分を補ってくれる力があります。
特に注目したいのが「カリウム」という成分。カリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を水分と一緒に排出してくれる働きがあります。むくみが気になる時や、血圧が気になる夫のためにも、積極的に取り入れたい栄養素です。
ただ、体を冷やす効果があるからといって、冷たいものばかりを摂るのは少し注意が必要です。胃腸が冷えすぎてしまうと、かえって働きが鈍くなり、「胃バテ」の状態になってしまうことも。例えば、きゅうりやトマトも、冷蔵庫から出してすぐではなく、少し常温に戻してからいただいたり、温かいスープや炒め物に加えたりするのも一つの工夫です。我が家では、母が食べやすいように、きゅうりを細かく叩いて、とろろや納豆と和えるのが定番。のど越しも良く、食欲がない時でもつるりと食べてくれます。
※「胃バテ」とは、夏に起こりやすい胃腸の不調のことです。自律神経の乱れや、冷たい飲食の摂りすぎなどが原因で、食欲不振や胃もたれ、消化不良などの症状を引き起こします。
発酵食品と酸味で、疲労回復をサポート
暑さで疲れた体を元気にしてくれるもう一つの主役が、「発酵食品」と「酸味」です。
納豆やお味噌、ヨーグルトといった発酵食品は、腸内の善玉菌を増やし、環境を整えてくれます。腸は「第二の脳」とも言われるほど大切な器官。腸が元気だと、栄養の吸収が良くなるだけでなく、免疫力の維持にも繋がります。夏風邪をひきやすいこの時期には、心強い味方ですね。我が家の定番発酵食品は「酒粕塩こうじ」酒粕と塩こうじをやや酒粕を多めにして合わせたものなのですが、その効能は驚くほど多岐にわたります。塩こうじは市販のものでも構いません、酒粕は柔らかいタイプのものを使うと混ざりがよくて使いやすいですよ。
万能発酵食品「酒粕塩こうじ」の驚きの効能
- 腸内環境の改善: 酒粕に含まれる豊富な食物繊維と、塩こうじの酵素が腸内細菌の働きを活性化させ、善玉菌を増やします。これにより、便秘解消、免疫力向上、美肌効果などが期待できます。梅雨時期の消化不良や便秘に悩む方には特におすすめです。
- 疲労回復: 酒粕には、ビタミンB群やアミノ酸が豊富に含まれており、疲労回復をサポートします。塩こうじの酵素も、食材の消化吸収を助け、効率よくエネルギーを生成する手助けをします。
- 免疫力アップ: 腸内環境が整うことで、体全体の免疫力が高まります。また、酒粕には免疫細胞を活性化させる成分も含まれています。
- 美肌効果: 酒粕に含まれる酵母やアミノ酸は、肌の保湿やターンオーバーを促し、美肌へと導きます。
- 旨味アップ効果: 塩こうじの酵素が食材のタンパク質を分解し、アミノ酸を生成することで、食材本来の旨味を最大限に引き出します。
この酒粕塩こうじをとろろの味付けに使い、少しのだし醤油(めんつゆや牡蠣醤油でもOK)で味を整えるとなんともお上品な味わいに。また、普段のお味噌汁から少しだけ味噌を減らして代わりにスプーン1杯分の酒粕塩こうじを足せば香りもぐっと華やかになりますよ。煮詰めずに火を切った後に入れるのがおすすめです。
そして、梅干しやレモン、お酢などに含まれるクエン酸などの有機酸は、疲労物質の分解を助け、すっきりとした後味で食欲を刺激してくれます。汗をかくと失われがちなミネラルの補給にも役立ちますよ。
夫の血圧対策で減塩を心がけている我が家では、お酢や柑橘の酸味、生姜やみょうがといった香味野菜の風味をよく活用します。例えば、お醤油を少し減らす代わりに、レモンをぎゅっと搾ったり、お酢を効かせた和え物にしたり。これだけで味が引き締まり、満足感も得られます。無理に我慢するのではなく、別の美味しさで置き換えるのが、長続きのコツかもしれません。
このように、旬の野菜、発酵食品、酸味を上手に組み合わせることで、体の熱を逃がし、失った潤いを補い、疲れを回復させるという、夏を乗り切るための好循環が生まれるのです。
今日からできる小さな一歩
「いろいろ分かったけれど、毎日凝った料理を作るのは大変…」と感じたあなたへ。大丈夫です、私も同じです。大切なのは、頑張りすぎないこと。いつもの食事にほんの少しプラスするだけの、簡単な一歩から始めてみませんか?
- いつもの一皿に「ちょい足し」薬味 冷奴やそうめんを食べる時、刻んだ大葉やみょうが、すりおろした生姜を添えてみてください。それだけで、いつもの味がぐっと爽やかになり、食欲も湧いてきます。お味噌汁に、さっと茹でたオクラを刻んで入れるのもおすすめです。とろみがついて、喉を通りやすくなりますよ。まずは薬味コーナーを充実させるだけでも、食卓は豊かになります。
- 手作り「飲む点滴」で賢く水分補給 つい手が伸びる甘いジュースやスポーツドリンク。もちろん時には良いのですが、糖分の摂りすぎも気になるところ。そんな時は、手作りのドリンクはいかがでしょう。湯呑みに梅干しを一つ入れて、少しのはちみつ(または黒糖)と一緒にお湯を注ぐだけ。じんわり体に染みわたるような、優しい味わいです。また、お水にレモンの輪切りやミントの葉を浮かべるだけでも、見た目も香りも良い「フレーバーウォーター」になります。さらに麹から作った甘酒も今は種類も豊富になり身近なスーパーで簡単に手に入るようになりましたよね、こちらも夏におすすめです。
- 火を使わない「和えるだけ」の一品 キッチンに立つのも億劫な日は、火を使わないレシピが一番です。例えば、きゅうりとミョウガを薄くスライスにして、刻んだ大葉、サバ缶とすりおろしにんにく(チューブでOK)、ごま油、少しのポン酢で和えるだけ。簡単ですが、タンパク質も野菜も摂れる立派な一品になります。トマトとアボカド、豆腐を和えて、ポン酢をかけるだけでも美味しいですよ。「今日はこれだけ」と割り切る日があっても良いのです。
まとめ
今回は、梅雨時の厳しい暑さを乗り切るための「救世食」についてお話ししました。
- 旬の夏野菜で、体にこもった熱を冷まし、潤いを補給する。
- 発酵食品や酸味の力で、疲労を回復し、食欲をアップさせる。
- 頑張りすぎず、「ちょい足し」や「和えるだけ」の小さな工夫から始めてみる。
私たちの体は、私たちが食べたもので作られています。だからこそ、少しだけ意識を向けてあげることで、体はきちんと応えてくれるはずです。
完璧な食事を目指す必要は全くありません。今日の食事に、何か一つでも「体に優しいもの」を取り入れられたら、それは素晴らしい一歩です。そんな小さな成功体験を積み重ねることが、いつの間にか大きな自信と健やかな習慣に繋がっていきます。
暮らしの中の小さな工夫を楽しみながら、この蒸し暑い季節を、一緒に笑顔で乗り越えていきましょう。
この記事を書いた人 Wrote this article

amanatsu 女性
こんにちは、amanatsuと申します。母の介護をしながら夫と3人で暮らしている50代の主婦です。 いろいろなことに挑戦して、最近は生成AIの学校「飛翔」でAIのあれこれを学びプロンプトエンジニアの認定をいただきました。日々の健康や学びで得た「AIでちょっと便利になること」などをお伝えしていきます。